-20060726-
今度は、拡張子.dmなるDM(デジタル・マッピング)データがやって来た。国土交通省指定の形式(独自形式かどうかは不明)らしく、国土交通省が管理している河川ではこの形式で河川現況図(平面図)が作られているらしい。河畔林の研究してたら誰もが欲しくなる涙ものの地図。以前は青い紙に印刷されていたのもしかなく、これをスキャンして自分でデジタル化するのか…とかなり絶望的な気持ちになっていたけど、時代は電子納品♪なので、そんな無意味な作業はしないで良くなった(まぁ、過去の地図はそうするしかないわけですが…)。
しかし、手元にDMデータがやって来た所で、だれかこれを扱ったことがある人が周りにいるわけでもなく、「一体、君は誰なのよ」という感じ。データを送って下さった開発局の方も「CADソフトによっては開けるモノもあるようなので一応送付」しますとおっしゃるくらいで、「開くことが出来れば使えると思います」とのこと。DMデータ欲しいなんて言う人は今のところ少ないのでしょう。ネットをさまよっても解決策は40万円のAutoCADで使えるエクステンションだったりして、AutoCAD自体持っていない生態系研究室では全く無意味。困り果てて、建設コンサルタント会社で働く方にお助けメールを送ると、やはり、DMデータはCADソフトで読める形式以前のファイルだとのこと。困ったなーと思いつつお礼メールを書くために、今分かっていることを再度ネットで調べていると「
DM-ViewConFree」なるフリーソフトを劇的に発見。神様っているのね!Version2.0G.4 の公開が5日前だったというのもすごい話だなぁ。そして、このソフトがフリーで公開された背景には「電子地図/建設情報連携小委員会」なるものがあって、
拡張DM-SXF変換仕様(案)の公開について精力的に進めてくれているらしい。
上記サイトには「測量データ(DMデータ)は設計業務、工事、施工管理と進む業務の基礎データとなる極めて利用価値の高いデータであります。DM形式の普及ならびに、データリサイクルの促進の一助になれば幸いです。」と書かれているのだけど、激しく同意。データを公開すると今まで想像さえしなかった様々な利用価値があることに気がつくと思う。国交省の河川局はある意味“川の国土地理院”なのだなと思う(川の気象庁でもあるのだけど!)。日本でも基礎的データはインターネットで広く公開、それも業務の1つという意識で取り組んでもらえる時代が来たのだなーとしみじみ。
で、肝心のDMデータがArcGISで読み込めたかという話ですが、
DM ==>[DM-ViewConFree]==> SFC ==>[SXF対応ツール for ArcGIS]==> GIS
とあっさり行くはずが、SFCファイルをArcGISで読み込む時点でエラーが起こる。
SFCではなくP21で吐き出すとなぜか、上手く行くので、結局それをさらにDXFに変換してArcGISで読み込む事に…。しかし色々な属性が失われている気がする。SXF対応ツールに問題があるような気がしてならないのですが…。今の現状は下記の通り。
DM ==>[DM-ViewConFree]==> P21 ==>[ProTRANS2004]==> DXF or DWG ==> GIS
それにしても「
DM-ViewConFree」の無料公開を決めた「電子地図/建設情報連携小委員会」はえらい!とても真っ当で清々しい。しかし、仕様書の目的には「拡張DM形式で納品しているにも係わらず、設計段階等では紙図面から電子化していることが多い」と絶句してしまう一文が…。発注元から紙図面渡された下請けは「元データ下さい」とはなかなか言いづらいのだろうか。それが結局は両者の利益(もちろん国民の利益)になることが分かっていても言いづらいのだろうなー。電子納品義務づければ、データがデジタルのまま再利用されるなんて考えは甘いのだろうな。そこを見て見ぬふりをせず、ちゃんと末端の人が電子データのまま使える環境を構築していこうとする「電子地図/建設情報連携小委員会」には頑張ってもらいたい。属性データも吹っ飛ばず、誰かがやった作業は繰り返さないで済む環境が早く手に入りますように。
-20060727追記-
灯台もと暗し…
なんと、ArcGIS9.1には「
国内データ変換ツール」が標準で付いていて、DMデータも変換出来るではないか…。ESRI社のHPで何かDMデータについて書いていないかと検索したらあっさり出てきた。しかし、研究室のArcGISは9.0だけど、、、と思い、色々聞いてまわると9.1のCDはすでに送られて来ていると言うこと。唖然。一体今まで私は何やってきたんでしょうか。9.0をアンインストールし、9.1のインストールを試みるが色々不具合発生し、結局、9.1使えるようになるまで3時間もかかってしまった。不具合とは、シングルユースライセンスでインストールしたのでUSBキーを差して利用するのだけど、USBキーの最新ドライバーをインストールしないといけなかったり、未来の日時で保存されているファイルがあって、そのためにArcGISが起動しなかったり、と言うこと。こんな面倒なだけの作業は嫌いなのだけど、保守管理をしてくれる人がいるわけでもないので、結局、何かしようとする度にこうやってどんどん時間が消費されていってしまう。どうして、大学(せめて学部)全体でPCソフト購入したり、保守管理の人を雇ったりしないんでしょうか。図書館にはちゃんと司書の方や本を整理するアルバイトがいたりするのにね。
で、結局DMデータ読み込めたかというと
DM ==>[ArcGIS9.1国内データ変換ツール]==> GIS(shpファイル)
と言う具合に一発で読み込めました。ちゃんと座標系も指定して変換できる。色々ソフトかませて変換していた時には吹っ飛んでいた標高データもちゃんと属性として保存されているし、道路、河道、基準点とかごとにshpファイルを作成できる。
全長48kmの札内川の河川現況図が現れた時には思わず声を出しまった。なんとか、少しずつ材料がそろい始めたという感じです。こういう労働も研究の内ではあるけれど、頭使ってると勘違いしてはいけない。なかなか難しいね。
ArcGISって確かに高いソフトだけど、
教育機関での購入は思ったほどじゃなかった。全学ライセンスだってあるし。大学でのGIS教育がなかなか進まないのはお金がないせいなんだと思ってたけど、別にそういうわけじゃないんだなぁ。確かに、フリーソフトでだって教えられることはいっぱいあるし。なんか、せつないなぁ。