九州大学のというか、ピンク本のというか、とにかく粕谷先生がうちの大学にいらっしゃっていて、
セミナーをするというので聞きに行きました。二本立てでタイトルは「近親交配は有利か不利か」と「ノンパラメトリックな検定の光と影」。
近親交配の話はその分野の基本的な理論から説明してくださったので、なんにも知らない私でも楽しく話を聞くことができた。“近親交配が不利”でない場面というのは色々見られるし、実際は近親交配ばかりの動物もいるわけで、交尾相手を選ぶ時に血縁関係がどういう役割を持つかはまだあまり分かっていないということでした。検証に使えるデータもあまりないし、取るのも工夫が要るとのこと。今回の話を植物に対応させるとすると、花粉の制御とか性比がどう変わるかという話になるのですか?と言うような質問が出ていたけど、お話を聞いていて、やっぱり、生態学って人間が自由に生きるための学問だと思った。植物や他の動物の生き方が人間よりも自由かどうかは分からないけど、色々な生き方を知って世界観が広がると少しは自由度が増すんじゃないかと思う。それと、学会発表などは、普通は終わった研究の話を聞くわけだけど、今回みたいにアイデアを語ってもらうのはとても良かった。せっかく大学にいて研究しているんだからon goingな話が聞きたいわけで、終わった試合見るよりワクワクする。そして、最近は研究のココロを自分が忘れつつあるなと思った。やっぱり自分がやっている事を冷静に見つめなければ。
ノンパラの話の方は粕谷先生らしくユーモアのあるお話でとても楽しかった(論文のReferencesとかしっかりスペルチェックしないといけないねぇ)。t-test & normal distributionの組合せが最強と言われるけど、normal distirbutionに最適化したt-testは他の分布では検出力でU-testに劣るし、U-testはU-testで特定の分布を仮定はしないけど比較しているものの分布が同じでなければいけないのでそれぞれ善し悪し。結局はちゃんと自分にあったtestをしましょうよ、というお話だった(と思う)。で、最終的にはモデル選択の話にもなって、せっかくサイズの合わない服をむりやり着ないですむ時代になったのだから、あなたの研究にあったオーダーメイドの服を着せてやりましょうよと。お話を聞きつつ色々痛い所はあったのだけど、D論からは自分自身でちゃんと納得のいく解析をするように頑張ろうと思った。
今回のセミナーは話の本題よりもそれを聞いて色々自分の中で思うことがあった。粕谷先生のお話は飲み会でも最高に楽しいのでセミナー後の懇親会に行こうか悩んだけど、あんまり知り合いもいない感じだったのでやめてしまった。夕飯食べつつ、やっぱり懇親会行けば、何かもっと良い話が聞けたかなーとか何度も思ってしまったが、あまりにも私にはネタがない気がしたし…。いや、だれもネタなんて期待していないだろうけど。とりあえず、北海道にいながらにして粕谷先生のお話聞けたのでラッキーでした。