【生態学におけるFOSS4G利用~QGISを使った生態学研究の紹介~】
生態学会初日にして最大の収穫だったQGISな集会。QGISだけでなくオープンソースGISを利用した様々な研究事例を紹介して下さいました。オープンソースの利点がいまだによく分かっていない私ですが(「誰でも検証可能」だけは分かる…)、フリーであることの強力さはRを使っていればよく分かる。大学院を出てどこの島に流されようとも、自宅引きこもりになろうとも、フリーなら使える。共同研究者にもインストールをお願いできる。といいつつも、GISの流儀はArcGISでもQGISでも似ているので、ソフトにはこだわらず、使えるものをとりあえず使い始めてコツコツGIS技を習得していけば良いようです。
QGIS集会の発表概要と発表資料はOSGeo.JPのサイトにあります。以下は私の個人的メモ(発表者が重点を置いた事とは必ずしも一致しません)。
・嘉山陽一さんメモ
QGIS2.0の日本語化は2010年末の予定。翻訳辞書を使用しているので英語版も日本語版も処理速度は変わらないはず。OSが日本語版だと自動的にQGISも日本語版でインストールされるので、日本語OSでQGISを英語のまま使用したい時は再設定が必要なようです。
・大東健太郎さんメモ
立ち上げているファイルと同じ名前のファイルを作ろうとすると落ちる。日本語(2バイト文字)には弱いのでファイル名はもちろん、ファイルパス、列名に日本語があると落ちる。Windowsで“デスクトップ”上にデータを置いていたり、ユーザー名が日本語だとファイルパスに日本語が含まれがちなので気をつけましょう(データはDドライブに!!)。'ascii' codec can't decode byte 0x88 in position 1: ordinal not in range(128)が出たら日本語が原因かも。manageRを使ってRとQGISのやりとりをするのが良い。しかし、manageRのTipsはネット上で検索しづらい(managerと混同される…)。On the fly投影されるので、投影法の定義をしなくても、画面上ではちゃんと重なって見える。しかし、統計処理(串刺し計算)は正確にできないので、面倒でもちゃんと投影法定義を最初にしましょう。
・岩崎亘典さんメモ
QGISの幾何補正機能を使った事例紹介。オルソ補正はまだ出来ないが、コントロールポイントをしっかり取れば、幾何補正だけでも十分な結果が得られることもある。でも、GRASSの方が良いかも。幾何補正は職人技的な部分も大きいので、時間を取られるなら外注(一枚2万円くらい?)も考えましょう。日本の緯度経度の原点は大正7年に移動している(古地図を使う時は注意)。緯度経度→UTM座表系・直角平面座標系への変換は面積計算やスケールを表示するだけでも必要(変換しないと、面積や距離が度で表されます)。Windows版QGISではUndo処理がまだ出来ないがLinux版なら可能。
・伊藤健二さんメモ
フィールド屋にとってもGISは有用(データの視覚化はとても強力)。しかも、データが増えれば増えるほど、GISを使って処理をすれば楽になる。データに空欄が多いと処理が不安定になりがちなので、NAとかで埋めるようにしましょう。一級河川のGISデータは
国土交通省国土調査課に色々あります(うー、なぜ北海道がない!)。
・今木洋大さんメモ
米国コロンビア川流域(日本の面積の1.8倍…)の解析をオープンソースGISの合わせ技で処理している。PostGISは作業量が多くても安定処理できる。Google Earthもかなり使える!調査地の選定やどんなタイプの河川か確認するのに便利。ポテンシャルマップなどをGoogle Earthにアップして、PCにGPSをつけて調査地へ戻れば、現場とポテンシャルマップを比較できる(GPS内蔵のiPhoneがあればもっと簡単に出来そう)。DBFファイルの処理はRのlibrary (RODBC)を利用。SQLはちょっと覚えないといけないかも。
・QGISのチュートリアル資料もあります。
GeoPacific.org
今木さんのサイト。
GIS教室の資料や
日本のGISデータ情報がいっぱい。
N.Iwasaki Web Page
岩崎さんのサイト。QGISの最初の一歩を助けてくれるチュートリアルが充実してます。